現状町内会の加入率はどこまで下がったのか
「町内会に入る人が減っている」という話はよく聞きますが、どのくらい減ったのかを数字で知っている人は多くありません。この記事では、総務省の「地域コミュニティに関する研究会」が2022年4月にまとめた報告書を中心に、全国と自治体の加入率の数字、そして減った理由として挙げられているものを並べます。自分の町内会の加入率を、全国や他の町と比べてみる手がかりになります。
全国の平均は10年で6.3ポイント下がった
報告書によると、全国には約30万の自治会・町内会があります。総務省は全国1,741の市区町村にアンケートを行い、そのうち2010年度から2020年度まで毎年の加入率(全世帯のうち加入している世帯の割合)を記録していた600市区町村について、平均の推移を出しました。- 2010年度:78.0%
- 2015年度:75.3%
- 2020年度:71.7%
町の大きさで差が大きい
報告書は、市区町村を人口の大きさで8つに分けて比べています。人口50万以上の市(政令指定都市を除く)は平均加入率が最も低く60%程度、人口1万未満の町村は最も高く90%程度でした。報告書は、50万以上の区分に東京の特別区が多く含まれ、人の出入りが多く都市的な暮らし方の傾向が強いことが影響していると見ています。 10年間の下がり幅は、人口20万以上30万未満の区分が7.6ポイントで最も大きく、人口1万未満が3.1ポイントで最も小さくなっています。どの区分でも下がっている点は同じです。自治体ごとの数字
京都市は、町内会の代表者へのアンケートから加入率を推計しています。2024年度(令和6年度)の報告書によると、推計加入率は2016年度68.5%、2018年度67.7%、2021年度65.0%、2024年度60.6%と下がってきました。8年で8ポイント近い低下です。 一方、岡山市は2025年6月末時点で加入率76.8%(住民基本台帳の343,579世帯のうち263,909世帯)と公表しています。同じ大きな市でも、15ポイント以上の開きがあります。数え方(分母を何にするか)が自治体ごとに違うため、単純に比べられない点には注意が必要です。減った理由として挙げられているもの
総務省の報告書は、原因は複合的で地域ごとに違うとしたうえで、共通の要因の一つに暮らし方の変化を挙げています。一人暮らしの世帯は1985年の20.8%から2015年の34.5%に増えました。女性の就業率(15〜64歳)は2001年の57.0%から2019年の70.9%に、65〜69歳の就業率は2010年の36.4%から2020年の49.6%に上がっています。働く人が増え、昼間に家にいる人が減れば、町内会の活動に出られる人も減ります。 報告書が引く横浜市の調査では、加入しない(断られる)理由として聞いたものに「ほとんど家にいない、活動に参加できないから」が39.8%ありました。報告書の構成員の資料は、加入率が下がる主な原因として、新しい住宅地や集合住宅で入らない人が増えたこと、高齢になって役や会費が負担になり退会する人が増えたことを挙げています。 京都市の調査で、町内会の代表者に「未加入者や退会者が増えている要因」を聞いた結果は、「役員になることや、隣近所との人間関係を負担に感じるから」が61.4%、「自治会・町内会が必要だと思わないから」が43.3%でした。住民本人ではなく、町内会の代表者が見た理由である点は割り引いて読む必要があります。 内閣府男女共同参画局が2017年3月の報告書でまとめた市区町村アンケート(回答1,157団体)では、自治会の課題として「役員・運営の担い手不足」86.1%、「役員の高齢化」82.8%、「近所付き合いの希薄化」59.2%、「加入率の低下」53.3%が挙がっています。入る人が減ることと、役を担う人が減ることは、つながった問題として扱われています。町内会の側の問題か、住民の側の問題か
報告書は、住民の立場からは、町内会の活動や運営の仕方が今の時代に合っておらず、魅力的に見えていないことも要因だという指摘があると書いています。 行政との関係についても、意見は分かれています。町内会が自治体の下請けのような役割を多く担い、それが自主的な活動を妨げているので関係を見直すべきだという意見があります。他方で、行政の関与を弱めると、公共サービスの担い手としての役割が薄れ、かえって加入率が下がるのではないかという心配もある、と報告書は両方を紹介しています。考えるための問い
- あなたの町内会の加入率は何%ですか。10年前と比べてどう変わったか、記録は残っていますか。
- 入らない人、やめた人は、どんな理由を口にしていますか。それは役の負担、会費、時間、必要性のどれに近いでしょうか。
- 町内会が行政から頼まれている仕事のうち、減らせるもの、減らすと困るものはどれでしょうか。浜区の場合はどうか、考えてみてください。