泉南市 浜区文書アーカイブver0.93ver0.91

町内会について歴史・成り立ち・取り組み方・現状・将来を考える材料

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成り立ち町内会・自治会は法律上どんな団体か 加入・退会・会費

「町内会には入らなければならないのか」「やめたら会費はどうなるのか」。こうした疑問は、町内会・自治会が法律の上でどんな団体なのかが分かると、かなり整理できます。町内会・自治会の法的な位置づけ、市町村の認可を受けた町内会(認可地縁団体)に関わる条文、2005年の最高裁判決が示した退会の考え方、会費と共益費、寄付金の集め方をめぐる裁判例を、条文や判決文、論文で確かめられた範囲で紹介します。

多くの町内会は「権利能力のない社団」

町内会・自治会は、住民が自分たちで作る団体です。規約や代表者、総会を持っていても、法人として登録していなければ、法律上は「権利能力のない社団」として扱われます。団体としての実体はあるものの、法人格(団体の名前で権利や義務を持てる資格)を持たない団体という意味です。後で紹介する2005年の最高裁判決でも、自治会はこの言葉で説明されています。 法人格がないと困るのが土地や建物です。柏市の案内によると、町内会が集会所などを持つと、会長の個人名義や役員の共有名義で登記するしかなく、名義人が交代したり亡くなったりするたびに、名義の変更や相続の手続きが必要になっていました。

1991年にできた「認可地縁団体」

この不都合をなくすため、1991年に地方自治法が改正され、第260条の2で、町内会が市町村長の認可を受けて法人格を持てるようになりました。認可を受けた団体を「認可地縁団体」といいます。当初は不動産などを持つことが前提でしたが、2021年の改正で、不動産を持っていなくても、地域の共同活動を円滑に行うために認可を受けられるようになりました。 第260条の2には、認可を受けた後の団体の性格についての定めもあります。
  • 認可は、その団体を行政組織の一部とすることを意味するものと解釈してはならない(第6項)
  • 正当な理由がない限り、区域に住所がある個人の加入を拒んではならない(第7項)
  • 民主的な運営の下に自主的に活動し、構成員を不当に差別してはならない(第8項)
  • 特定の政党のために利用してはならない(第9項)
第7項が定めているのは、団体の側が加入を断れないことです。住民に加入を義務づける規定は、この条文にはありません。

2005年の最高裁判決:いつでもやめられる

退会について最高裁が判断したのが、2005年(平成17年)4月26日の最高裁判所第三小法廷の判決です。 事案は埼玉県新座市の県営住宅の自治会です。規約では、共益費(団地の共用施設を保つ費用)を1世帯月2,700円、自治会費を月300円と定めていましたが、退会を制限する規定はありませんでした。共益費には、街路灯や階段灯の電気代、エレベーターの保守などが含まれ、県の委託を受けた住宅供給公社の指示で、自治会がまとめて集めて業者に払っていました。 ある入居者が、役員の方針に不満があるとして2001年5月に退会を申し入れ、その後の共益費と自治会費を払わなくなりました。自治会は2001年3月分から2003年2月分まで、計7万2,000円を請求しました。二審の東京高裁は、自治会の公共的な性格を理由に、個人的な感情などからの退会は条理上許されないとして、全額の支払いを命じました。 最高裁はこれを改めました。自治会は強制加入団体ではなく、規約に退会を制限する規定もないので、会員はいつでも一方的な意思表示で退会できる、と判断しています。自治会の設立の趣旨や公共的な性格は、この結論を左右しないとも述べました。そのため、自治会費は退会を申し入れるまでの3か月分900円だけを払えばよいとされました。

退会しても共益費は払う

同じ判決は、共益費については別の結論を出しています。この入居者は入居するときに、そこに住んでいる限り自治会に共益費を払うと約束したものと見ることができる、だから退会が有効かどうかにかかわらず共益費の支払い義務は消えない、という理由です。結局、共益費24か月分6万4,800円と自治会費900円、計6万5,700円の支払いが命じられました。 ここから分かるのは、同じ「町内会に払うお金」でも、会員であることの会費と、共用の設備を使うことへの費用は分けて考えられる、ということです。京都府は府営住宅の入居者向けに、この判決を引いて、自治会の会員かどうかにかかわらず共益費の支払い義務は免れないと知らせる案を示しています。 なお、この判決は「規約に退会を制限する規定がない」ことを理由の一つにしています。規約に制限の規定があった場合にどう判断されるかは、この判決からは直接には分かりません。

寄付金を会費に上乗せした決議は無効

会費の使い道をめぐる裁判もあります。大野拓哉氏の論文によると、滋賀県甲賀市の希望ヶ丘自治会(認可地縁団体。区域内1,060世帯のうち939世帯、約88.6%が加入)は、2006年3月の総会で自治会費を年2,000円増やし、その分を赤い羽根共同募金会、市の社会福祉協議会、日本赤十字社などへの募金や寄付金に充てると決めました。 2007年8月24日の大阪高裁判決は、この決議を公序良俗(社会の秩序や道徳)に反し無効としました。募金や寄付に応じるかどうかは各人の考えで決めることで、それを会費として一律に集め、事実上強制することは思想・信条の自由の侵害につながる、という理由です。判決は、自治会が未加入者には配布物を配らない、災害などの際に協力しない、新しいごみ集積所を使わせないと決めていたことから、会員の脱退の自由は事実上制限されているとも指摘しました。自治会は最高裁に上告しましたが、2008年4月3日に退けられ、判決は確定しました。 自治会の側にも言い分がありました。高齢化で寄付金を集めて回る役員の負担が重くなったこと、寄付金は地域の役に立っていること、規約に従って議論し大多数の賛成で決めたこと、です。また、全国社会福祉協議会は判決の後、この判決は自治会による一括での集金を違法としたものではなく、会員一人ひとりの判断を尊重するよう求めたものだ、という受け止めを示しています。

考えるための問い

  • あなたの町内会が集めるお金のうち、会の活動に使う会費と、共用設備の維持や他の団体への寄付に回るお金は、分けて示されていますか。
  • 会をやめたい人や入らない人が出たとき、ごみ集積所や回覧、防災の扱いをどうするか、規約や総会で話し合ったことはありますか。
  • 浜区の場合はどうか、考えてみてください。規約に、加入や退会、会費の使い道はどう書かれているでしょうか。

出典

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