泉南市 浜区文書アーカイブver0.93ver0.91

町内会について歴史・成り立ち・取り組み方・現状・将来を考える材料

← 一覧に戻る

成り立ちマンションの管理組合と町内会は何が違うのか

マンションに住むと、管理組合の組合員になり、それとは別に町内会や自治会に入るかどうかを決めることになります。ところが、管理費と一緒に自治会費を集め、二つの区別があいまいなマンションもあります。管理費から町内会費を払ってよいのかをめぐって裁判が何度も起き、国土交通省は2016年に管理組合の規約のひな型を書き換えました。法律の条文、国のひな型と解説、裁判例、総務省の調査をもとに、二つの団体の違いと、その境目をめぐる議論を紹介します。

入るかどうかを選べない管理組合

管理組合のもとになるのは、「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)の第3条です。区分所有者(部屋の持ち主)は「全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し」と定めています。部屋を買えば、望むかどうかにかかわらず一員になります。 国土交通省が示す規約のひな型「マンション標準管理規約」の解説(コメント)も、管理組合は強制加入の団体で、居住者が任意で入る自治会や町内会とは性格が違うとしています。自治会費は住民どうしの親睦や福祉、助け合いのために任意に負担するもので、建物を維持管理するための管理費とは別のものだという説明です。
  • 管理組合:区分所有法にもとづく団体です。部屋の持ち主全員が入り、抜けることはできません。目的は建物と敷地、附属施設の管理です。
  • 自治会、町内会:設立を定めた法律はなく、地域に住む人のうち入りたい人が入ります。部屋を借りて住む人も入れます。目的は親睦、福祉、防犯など暮らし全般にわたります。

管理費から自治会費を払ってよいのか

横嶋勝仁氏の論文の整理によると、2007年の東京簡易裁判所の判決は、町内会費の徴収は共有財産の管理に関する事項ではなく、区分所有法第3条の目的の外にあるので、管理組合が多数決で決めて規約に書いても拘束力はないと述べました。同じ年の東京高等裁判所の判決の事案では、管理組合が1戸200円に戸数を掛けた額を約20年間、管理費からマンション内の自治会に払っていました。自治会を抜けた組合員が、その分の管理費を払う義務がないことの確認を求め、認められています。2009年の東京高裁判決も、自治会に入っていない組合員から管理組合を通して集めた自治会費の返還を命じました。 一方、2012年の東京高裁判決は、管理費から町会費を払う予算を承認した総会と理事会の決議を有効とし、管理組合が勝っています。2016年の東京高裁判決は、千葉県の大規模な団地の事案です。加入率が半数を割った自治会を廃止し、管理組合が業務と財産を引き継いで、1戸月200円の「自治防災費」を全員から集めるよう規約を改めました。一審の千葉地裁は管理組合を勝たせましたが、高裁はこの費用の返還を認めています。

2016年の標準管理規約は何を変えたのか

標準管理規約には、2004年の改正で、管理費の使いみち(第27条第10号)と管理組合の業務(第32条第15号)として「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」が加わっていました。国土交通省の「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(2012年設置)は、この条項を削る方針を打ち出します。横嶋氏の論文によると、検討会は、管理組合は財産を管理する団体であること、管理費から自治会費を払って訴訟になった例があること、「コミュニティ」の定義があいまいで管理との線引きが難しいことを理由に挙げました。 これには反対も出ました。日本マンション学会の会員は、検討会が挙げた裁判例は自治会費と管理費を分けるよう求めたもので、管理組合がコミュニティ活動をすること自体を違法とはしていないと指摘しました。2015年5月には、首都圏と大阪の13の管理組合(総戸数9,309戸)が連名で、管理費から町会費を払う決議を有効とした2012年の東京高裁判決が検討されていないとする意見書を国に出しています。 2016年3月の改正では、第27条第10号と第32条第15号は削られ、第32条第12号が「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」に改められました。解説は、マンションやその周辺の美化や清掃、景観づくり、防災や防犯、生活ルールの調整のように、経費に見合った資産価値の向上がもたらされる活動は、建物などの管理の範囲内で行う限りできるとしています。逆に、一部の人だけが参加するサークルの費用や、親睦が主な目的の飲食の費用に管理費を充てるのは適切ではないとしました。同じ時に改正された国の指針は、管理組合がコミュニティづくりに取り組むことが望ましいと新たに書き込んでいます。 自治会費を管理費と一緒に集めることも、条件つきで認められています。2025年に改正された最新の標準管理規約の解説は、一緒に集める場合の注意として、自治会への加入を強制しないこと、入りたくない人から自治会費を集めないこと、自治会費を管理費と分けて経理すること、管理組合が代わりに集める手間の負担を整理することの四つを挙げています。

都市のマンションと地方の町

総務省の「今後の都市部におけるコミュニティのあり方に関する研究会」は、2014年3月の報告書で、マンションの中には既存の自治会や町内会に入らない、入っても途中で抜けるところがあると書いています。管理組合が自治会の役割を担ったり、マンションだけで自治会をつくったりする例もあり、後者は既存の自治会の抵抗で立ち上げが難しい場合があるとしています。建設時に業者と自治会が入居者の入会を約束しても、入居者や管理会社が代わると続かなかった例もありました。 報告書の住民アンケートで町内会に「入会している」と答えた人の割合は、仙台市の2地区が75.4%と83.8%、神戸市の地区が86.3%でした。東京では葛飾区の地区が66.5%、港区の高層マンション二つが46.4%と41.3%、港区のもう一つの地区が36.9%です。報告書は、近所づきあいが薄くなる傾向は東京の都市部やマンションで特に目立ち、地方圏の都市では近所とのつながりが比較的残っている例もあったとしています。ただし対象は都市部で、農村部とマンションを数字で比べた全国調査は確認できませんでした。

考えるための問い

  • 身近なマンションでは、管理費と自治会費が別々に集められ、別の帳簿で管理されているでしょうか。
  • 管理組合がしている清掃や防災訓練のうち、建物の管理に入るものと、自治会の活動として行うほうがよいものを分けるとしたら、どこに線を引きますか。
  • 浜区の場合はどうか、考えてみてください。区域に集合住宅がある場合、その住民と町内会はどうつながっているでしょうか。

出典

姉妹サイト:それなんぼ? ほんまかいな予想 生活保護しらべ トラさんしらべ 神社しらべ 歴史しらべ 文学しらべ 音楽しらべ お笑いしらべ 落語しらべ 漫画しらべ 映画しらべ 仕事しらべ 泉南しらべ 泉州しらべ