泉南市 浜区文書アーカイブver0.93ver0.91

町内会について歴史・成り立ち・取り組み方・現状・将来を考える材料

← 一覧に戻る

現状町内会への加入をすすめる条例は何を定めたか

町内会は、入るかどうかを住民が自分で決める団体です。それなのに、住民に町内会への加入に努めるよう条例で求める市や町が増えています。地方自治研究機構(自治体の法務を調べる一般財団法人)の整理では、加入を主な目的にした条例は2011年の長野県塩尻市から2025年12月の北海道室蘭市まで34あり、大阪府でも寝屋川市や摂津市が加入にふれる条例をつくりました。ここでは、条例の顔ぶれ、条文の中身、加入は任意であることとの関係、効果と批判を、条例の本文と自治体の資料で確かめた範囲で並べます。自分の市に条例ができたら何が変わるかを考える材料になります。

どこが、いつつくったか

地方自治研究機構は、町内会への加入を定める条例を四つに分けています。
  • 加入そのものを主な目的にした条例:34。最初は塩尻市(2011年3月公布)で、さいたま市(2012年)、川崎市(2014年)、札幌市(2022年)、宇都宮市(2025年)などが続きます。
  • 地域コミュニティ全体の活性化を目的にし、その中で加入にふれる条例:14。横浜市(2011年)、京都市(2011年)、福岡市(2022年)、寝屋川市(2025年)など。
  • 自治基本条例や住民参加の条例で加入にふれるもの:17。長野県高森町の町民参加条例(2002年、のちに廃止)が先駆けとされ、摂津市(2025年)も入っています。
  • マンションなど集合住宅の建て方を定める条例で、入居者の加入にふれるもの:12。東京23区に多く、最も早いのは江戸川区(2005年)です。
同機構によると、東日本大震災などの災害で地域のつながりが見直されたことが、制定のきっかけの一つになりました。

条文に書かれていること

中身の典型として、三重県四日市市の「自治会加入の促進と自治会活動推進のための条例」(2019年12月公布、2020年4月施行)を見ます。
  • 住民:地域の一員であることを認識し、自治会への加入と活動への参加に「努めなければならない」。
  • 自治会:加入と参加は個人の自由な意思によることを理解し、「これを強制してはならない」。規約や予算、決算などを会員に定期的に公開し、開かれた組織づくりに努める。
  • 事業者:事業所のある地域の自治会活動に協力し、従業員が住んでいる地域の自治会活動に参加できるよう配慮するよう努める。
  • 住宅関連事業者(住宅を建てる、売る、貸す、管理する業者):入居しようとする人に、その地域の自治会の情報を伝えるよう努める。
  • 市:自治会の負担を軽くするよう配慮し、加入促進の活動にお金の援助をするよう努める。
栃木県宇都宮市の「地域で支え合う自治会条例」(2025年4月施行)も同じ骨組みで、住宅関連事業者には、入居者に自治会への加入や自治会の設立に役立つ情報を渡すよう努めることを求めています。自治会の側にも、役員の負担を軽くすることや運営の透明性を高めることを求めています。

「加入は任意」とどう折り合うか

多くの条例は、住民の加入を努力義務(守らなくても罰や不利益を受けない「努めること」)にとどめています。四日市市の手引書も、本条は努力義務だと説明し、根拠として、自治会は「いわゆる強制加入団体でもなく」とした最高裁判所の2005年4月26日の判決を引いています。はっきり断った人に執拗に加入を迫った件で、慰謝料の支払いを認めた福岡高等裁判所の2014年の判決にも言及しています。 一方、地方自治研究機構によると、塩尻市の条例は「加入するものとする」と書き、長野県小諸市や神奈川県大井町の自治基本条例は「加入しなければなりません」と書いています(大井町は「原則として」つき)。塩尻市の条例に罰則はありません。同機構は、すでにある自治会への加入を義務づけるのは違憲になる可能性があるとする礒崎初仁氏や、義務づけには法的な限界があり努力義務にとどめるほうが望ましいとする剱持麻衣氏の見方を紹介しています。

効果と批判

効果は、はっきりしていません。総務省の「地域コミュニティに関する研究会」の第3回(2021年10月)では、自治体へのアンケートの説明を受けて、条例や計画で加入を促している自治体でも、平均すると結果に必ずしも結びついていないという発言がありました。これに対しては、中には加入率が上がった自治体もあるという答えと、自治体ごとに加入率の数え方が違うことに注意してほしいという補足がありました。 批判は、強制につながらないかという点に集まっています。札幌市の「未来へつなぐ町内会ささえあい条例」(2022年10月公布)の素案には、条例ができると町内会を公的な組織と誤解する人が増える、努力義務でも輪番の役員を引き受けることの強制につながるおそれがある、といった意見が寄せられました。札幌市は、条例は住民に何かを強制するものではないと答えています。同じ研究会では、ある政令市で、加入の促進は自治会自身がやることだという住民の主張により条例づくりが止まった例も紹介されました。 条例をつくらないと決めた市もあります。鳥取市は2020年度と2024年度の2度、自治基本条例に加入の条文を足すかを検討し、特定の任意団体への加入を条例に書くのはふさわしくないという意見を受けて見送りました。2026年3月に更新した議会への対応状況でも、加入促進条例は「現状では着手する段階ではない」とし、参加したくなる自治会づくりや役員の負担を減らす支援を先にするとしています。泉南市の近くでは、泉佐野市が2014年3月に、市の町会連合会や宅地建物取引業協会の泉州支部と協定を結び、不動産業者が新しく入居する人に加入を勧める形をとっています。

考えるための問い

  • 自分の市に加入をすすめる条例ができたら、町内会の勧誘のしかたや、入らない人との付き合い方はどう変わると思いますか。
  • 条例が事業者や不動産業者に求めている「情報の提供」を、町内会の側は渡せる形で用意できているでしょうか。
  • 条例が住民に加入を求めるなら、町内会の側は会計の公開などで何を約束できるでしょうか。

出典

姉妹サイト:それなんぼ? ほんまかいな予想 生活保護しらべ トラさんしらべ 神社しらべ 歴史しらべ 文学しらべ 音楽しらべ お笑いしらべ 落語しらべ 漫画しらべ 映画しらべ 仕事しらべ 泉南しらべ 泉州しらべ