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町内会について歴史・成り立ち・取り組み方・現状・将来を考える材料

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将来回覧板はスマホに替わるのか 町内会のデジタル化

回覧板を班長から隣の家へ回す、会費を一軒ずつ集めて回る、総会の日に集会所へ集まる。町内会の仕事のこの三つを、スマートフォンのアプリやLINE、キャッシュレス決済、書面やインターネットでの表決に置き換える動きがあります。国の研究会の報告書、自治体の補助制度と利用者アンケート、法律の条文を手がかりに、何がどこまで置き換えられ、何が残るのかを具体的に並べます。

国の研究会が見た出発点

総務省の「地域コミュニティに関する研究会」は2022年4月の報告書で、市区町村が把握している自治会のデジタル化の状況を示しました。自治会でLINEなどの汎用アプリが使われていると答えた市区町村は12.3%、自治会向けの専用アプリは1.5%、Web会議は4.4%で、75.1%は「該当なし」でした。報告書はこの数字について、市区町村が個々の自治会の状況をつかめていない可能性もあると断っています。 報告書が聞き取った例には、町会連合会と事業者と市の三者で電子回覧板アプリを広げた金沢市、職員が自宅まで出向いて機器の使い方を説明し、ほとんどの自治会でオンライン会議ができるようにした島田市があります。国は2022年度から、自治会への市町村の支援にあてる地方交付税の措置を広げ、ホームページやSNSを使った加入促進や活動の周知も対象に含めました。

回覧板をスマホで回す

札幌市は2021年度に、各区1地区、計10の町内会を選んで電子回覧板の導入を支援しました。その後にまとめた手引きは、電子回覧板の良い点として、情報が一斉に届くこと、過去の回覧を見返せることを挙げています。弱い点としては、機器を持たない世帯に届かないこと、紙と併用すると町内会の手間が増えることを挙げています。手引きに載った141世帯の町内会は、登録した世帯には紙を回さないことにし、2022年3月時点で7割以上の世帯が登録していました。それでも手引きは、はじめから紙の廃止を前提にせず、導入後に会員の意向をふまえて決めるよう勧めています。 富山市は2026年度、電子回覧板を入れる町内会20団体に、初期費用を1団体6万6千円まで補助しています。月々の利用料は町内会の負担です。市が2026年1月に行った利用者アンケート(一般317人、役員17人が回答)では、便利な点として「すぐに情報を確認できる」が77%で最も多く、73%が使い続けたいと答えました。ただ、役員が答えた17団体を合わせると、4,130世帯のうちアプリを使う世帯は1,621世帯で、4割ほどでした。電子回覧板をきっかけに町内会活動への参加が「変わらない」と答えた利用者も89%いました。

LINEを使う町内会と自治体の補助

新しいアプリを入れず、住民の多くがすでに使っているLINEで回覧する町内会もあります。福岡市は、町内会活動支援事業補助金の対象に、LINE公式アカウントや電子回覧板の利用料、ホームページの作成費を含めています。補助は経費の2分の1(上限5万円)で、工夫を凝らした情報発信なら5分の4(上限10万円)です。市は2025年度にLINEを使った電子回覧板の講座を開き、2026年度には16本の解説動画を作りました。東京都町田市も、町内会向けのLINEの使い方の手引きを公開しています。

会費の集金をキャッシュレスに

横浜市保土ケ谷区の岩井町原第一町内会(約400世帯)は、区の2023年度のモデル事業をきっかけに、町内会費をQRコード決済で払えるようにしました。現金を受け取って額を確かめる役員の負担を減らすのが目的でした。はじめは反対が多く、役員会で何度も説明して導入を決めたといいます。2025年度にQRコード決済を選んだのは約40世帯で、集金はまだ対面で行っています。支払い方を一つ増やしても、集金に回る仕事がすぐになくなるわけではありません。

総会を書面やインターネットで

法人になった町内会(認可地縁団体)の総会は地方自治法に決まりがあります。総会に出ない会員は書面や代理人で票を入れられ、2021年9月1日からは、規約か総会の決議があれば、電子メールやWebサイト、アプリでも票を入れられるようになりました。総務省の質疑応答によると、規約に書面と代理人の表決がすでに書いてあっても、電子的な表決を加えるには規約の変更が要ります。さらに、会員全員が承諾すれば、総会を開かずに書面や電子的な方法で決議することもできます。 法人でない町内会では、総会の開き方は各会の規約によります。仙台市は、案内と議案と書面表決書を配り、役員が集計して結果を回覧で知らせる手順を一例として紹介しています。なお、Web会議で参加した人を総会の出席者として数える方法までは、今回調べた国の資料では確認できませんでした。

紙を残す理由、減らす理由

紙を残す側の理由は、まず届く範囲です。富山市の補助の案内は、スマートフォンを持たない人のために紙の回覧板と併用することになると書いています。札幌市の手引きは、回覧板を人から人へ手渡すことが地域の交流や見守りの一端を担ってきたと述べています。総務省の報告書も、顔を合わせることを自治会活動の醍醐味の一つとし、デジタル化を進めるかどうか自体を各団体が自分で決めるべきだとしています。 紙を減らしたい側にも理由があります。富山市の補助の案内に載った住民の意見には、暮らしの時間帯が変わり、回覧板を届けても家に誰もいないことがあるという声があります。同市のアンケートでは、クマが出る中での配布に電子回覧板が役立っているという役員の声もありました。紙と電子の両方を用意する今の形を「業務が重複している」と感じる役員もいて、内容に応じて紙を少しずつ減らせば普及につながるという意見も出ています。総務省の報告書は、日ごろ使われないシステムは災害時にも使われないとし、安否確認に使うなら平時の回覧や訓練にも使える形にするよう勧めています。

考えるための問い

  • 自分の町内会の回覧板は、一周するのに何日かかっていますか。そのあいだに、手渡しで交わしている会話はありますか。
  • スマートフォンを使わない世帯はどれくらいありますか。紙と電子を両方続けるなら、増える手間は誰が引き受けますか。
  • 総会の表決や会費の払い方を変えるとしたら、規約のどこを直す必要がありますか。浜区の場合はどうか、考えてみてください。

出典

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