泉南市 浜区文書アーカイブver0.93ver0.91

町内会について歴史・成り立ち・取り組み方・現状・将来を考える材料

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現状行事中のけがは誰が責任を負うのか 町内会と保険

町内会の行事には、けがの起こりやすい場面があります。草刈りでは刃物や機械を使い、祭りや運動会では人が集まり、子ども会のハイキングやキャンプでは水辺や山に出かけます。事故が起きたとき、町内会や役員、手伝った住民は賠償を求められるのでしょうか。民法の条文、子ども会の行事や地区の運動会をめぐる判決、市が保険料を払う市民活動保険、全国社会福祉協議会(全社協)のボランティア保険を並べ、守られる範囲と漏れる範囲を確かめます。

賠償の責任を決める民法の条文

事故の賠償を考える出発点は民法709条です。故意または過失(注意すれば防げたのに怠ったこと)で他人の権利を傷つけた人は、その損害を賠償する責任を負う、と定めています。ボランティアかどうか、お金をもらっているかどうかは、この条文の要件に入っていません。 これに対して715条は、人を使って事業をする者の責任を定めています。使われている人が事業の中で第三者に損害を与えたとき、使う側も賠償の責任を負います。ただし、選び方や監督に相当の注意をしていた場合などは責任を免れる、というただし書きがあります。無償の役員や参加者について、町内会がこの条文の「使用者」に当たるかを判断した裁判例は、今回の調べでは確認できませんでした。 また、被害者の側にも落ち度があれば、裁判所はそれを考えて賠償額を減らせます(722条2項、過失相殺)。後で紹介する子ども会の事故でも、この考え方で額が大きく減りました。 法人になった町内会(認可地縁団体)には、地方自治法260条の2第15項が一般社団法人法78条を当てはめています。代表者が職務の中で第三者に与えた損害は団体が賠償する、という規定です。団体の責任を定めた条文であり、役員本人の709条の責任がなくなるとは書かれていません。

子ども会のハイキングで起きた水死事故

ボランティアの引率者の責任が争われた例としてよく挙げられるのが、三重県津市の「四ツ葉子ども会」の事件です。1976年8月1日、子ども会のハイキングで昼食後に川遊びをしていたとき、小学3年生の男の子が決められた範囲の外の深みに入り、亡くなりました。参加した子どもは30人で、中学生のOB6人と大人の引率者ら11人がついていました。 民事裁判では、津地方裁判所が1983年4月21日、下見と引率をした役員3人に526万円余りの賠償を命じました。両親の請求は約2,500万円でしたが、子ども自身の過失が8割とされ、額が減っています。弁護士の解説によると、判決は、実施する場所の危険を事前によく調べ、見張りの体制を整えて事故を防ぐ義務があったとしました。 同じ事故は刑事裁判にもなりました。中心になった指導者1人が過失致死罪に問われ、1979年12月6日に津簡易裁判所で罰金5万円の有罪、1984年2月28日に名古屋高等裁判所で無罪となり、確定しています。刑事で罪に問われなくても、民事では賠償を命じられることがあるわけです。 似た判決はほかにもあります。札幌地方裁判所は1985年7月26日、少年剣道会の旅行会で子どもが磯遊び中に沖へ出て亡くなった事故について、旅行会を主導して引率した人の賠償義務を認めました。

参加者どうしの事故

一方、責任を問われるのは主催者や引率者だけではありません。新潟県弁護士会の弁護士の解説によると、地区合同運動会の自転車リングリレー(金属の棒で輪を転がしながら走るリレー)で走者どうしがぶつかった事故で、東京高等裁判所は2018年7月19日、ぶつかった側の走者に通院慰謝料10万円の賠償を命じました。親睦のための気軽な競技で許されるのはごく軽い衝突までだ、という理由です。同じ事件について、さいたま地方裁判所は2018年1月26日、賠償責任を認めていませんでした。裁判所によって判断が分かれたことになります。

市が保険料を払う市民活動保険

こうした事故に備えて、市が保険料を払う保険を用意している自治体があります。横浜市の「市民活動保険」は2026年度も市が保険料を前払いし、事前の登録はいりません。自治会町内会の活動も対象ですが、無報酬で、継続的かつ計画的に行う公益の活動であることが条件です。千葉県船橋市も「市民活動総合補償制度」で掛け金を全額負担し、町会や自治会の活動に携わる人や責任者を対象にしています。 ただし、補償には限りがあります。横浜市のQ&Aでは、行事やお祭りの参加者や見物に来た人のけがは対象外で、守られるのは企画や運営をする側です。防災訓練も、参加者は対象外です。マンションの敷地だけの清掃は住民どうしの利益のための活動として対象にならず、熱中症や地震などの天災によるけがも外れます。入院は1日3,500円、通院は1日2,500円の定額です(2023年7月更新のQ&Aによる)。

社会福祉協議会のボランティア保険

全社協の「ボランティア活動保険」は、社会福祉協議会(社協)に登録したうえで一人ずつ入る保険です。2026年度の保険料は年350円(地震などの天災も補償するプランは500円)で、賠償責任は5億円まで、死亡は1,040万円、入院は1日6,500円です。本人の熱中症も補償されます。 ところが、この保険は町内会の活動をそのまま引き受けてはくれません。PTA、自治会、町内会、老人クラブのように、ボランティア以外の目的でつくられた団体の組織運営や親睦の活動は対象外とされ、当番制や輪番制の活動、総会、レクリエーションが例に挙がっています。 行事の参加者のけがに備えるには、同じ全社協の「ボランティア行事用保険」があります。2026年度は、宿泊のない運動会や防災訓練、キャンプで1人1日126円、神輿や山車の出る祭りで248円です(最低20人分)。補償は死亡400万円、他人にけがをさせたときの賠償が1人2億円までです。こちらも、会員だけの親睦行事や、草刈機やチェーンソーなどの電動器具を使う行事は対象外で、社協への登録が要ります。 このほか、民間の保険会社にも自治会町内会向けの保険があり、会員のけが、行事中の賠償責任、雨で中止したときの費用などを補償するものがあると横浜市は紹介しています。草刈機を使う作業や会員の親睦行事のように、公の保険から漏れやすい活動をどう守るかは、町内会ごとに決めるしかありません。

考えるための問い

  • 自分の町内会の行事のうち、市の保険、社協の保険、民間の保険のどれにも当てはまらない活動はありますか。
  • 子ども会の行事で水辺や山に出かけるとき、下見と見張りをだれが受け持つか、前もって決めていますか。
  • 浜区の場合はどうか、考えてみてください。事故が起きたとき、だれに連絡し、どの保険を使うかが決まっているでしょうか。

出典

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