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町内会について歴史・成り立ち・取り組み方・現状・将来を考える材料

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取り組み方自主防災組織はなぜ町内会単位でつくられるのか 10月23日 14:25 登録

町内会の総会資料や規約には、よく「自主防災組織」という名前が出てきます。けれども、それが町内会とどう違うのか、なぜ町内会ごとにつくられているのかを説明できる人は多くありません。災害対策基本法の条文、消防庁と内閣府の統計、静岡県の調査を見ると、自主防災組織が町内会を単位にしてきた理由と、そのことが生む強みと弱みが見えてきます。自分の町の自主防災組織が名前だけのものになっていないかを確かめる材料として読んでください。

法律ではどう書かれているか

災害対策基本法は、自主防災組織を、近所どうしが助け合う気持ちにもとづいて住民が自分からつくる防災の組織と定めています(第2条の2第2号)。条文にある「隣保協同」は、隣近所が力を合わせるという意味です。そのうえで法律は、市町村長に自主防災組織の充実を図るよう努めること(第5条第2項)を、国と地方公共団体に自主防災組織の育成に努めること(第8条第2項第13号)を求めています。住民の側には、防災訓練などへの参加に努めることが書かれています(第7条第3項)。 つまり法律は、住民に組織をつくれと命じてはいません。つくるのは住民で、行政は育てる側という分担です。消防庁の「自主防災組織の手引」によると、最初の手引は1973年(昭和48年)5月に出され、1995年の阪神・淡路大震災のあとの法改正で、自主防災組織の育成がはじめて行政の責務の一つとして法律に書き込まれました。同じころ、資機材をそろえるための国の補助制度もでき、結成が全国で進みました。この補助は2006年度(平成18年度)に一般財源化されています(使い道を決めた国の補助金をやめ、自治体が自由に使えるお金に組み入れたことをいいます)。

数字でみる広がり

広がりは「活動カバー率」で測ります。全国の世帯のうち、自主防災組織が活動の範囲としている地域に住む世帯の割合です。内閣府の防災白書によると、2009年4月1日時点で組織数は13万9,316、カバー率は73.5%でした。消防庁の手引では、2013年に77.9%、2022年に84.7%と年ごとに上がっています。 最新の令和6年版消防白書では、2024年4月1日時点で全国1,741市区町村のうち1,697市区町村に組織があり、その数は16万7,233、カバー率は85.4%です。都道府県別では兵庫県の98.4%がもっとも高く、沖縄県の42.4%がもっとも低くなっています。大阪府は90.7%です。 ただし、カバー率は「組織がある地域に住んでいる世帯」の割合で、訓練に出ている人の割合ではありません。カバー率が9割でも、活動に加わっている住民がどれだけいるかは、この数字からはわかりません。

なぜ町内会が単位になるのか

消防庁の手引には、2022年4月1日時点の組織の単位が載っています。町内会単位が94.8%で、小学校区単位は2.2%、その他が3.0%です。1組織あたりの規模は全国平均でおよそ300世帯です。手引は、組織の大きさについて、住民がふだんの暮らしのなかで一体だと感じられる範囲が望ましいとしています。 結成のやり方について、手引は三つを挙げています。町内会がそのまま自主防災組織を兼ねる方法、町内会の中に防災の部門をつくる方法、町内会とは別に新しい組織をつくる方法です。町内会の一部門にするなら、町内会の規約を改めれば足ります。手引の評価では、町内会を兼ねる形は町内会のお金を使える反面、防災の専門性を高めにくく、別の組織にすると専門性は高めやすいものの、お金の確保が難しいことが多いとされています。 町内会が選ばれやすい事情は、この比べ方からも読み取れます。区域と代表者がはっきりしていて、会費と集会所があり、家ごとの連絡の仕組み(回覧や班)をすでに持っている団体は、地域にほかにあまりありません。手引の年表でも、1970年代前半(昭和40年代後半)の自主防災組織は、組織化の主な土台を町内会などに置いていたと整理されています。

町内会と同じ顔ぶれであることの弱み

しかし、町内会に重ねてつくると、町内会の悩みもそのまま引き継ぎます。手引は、消防庁が2016年度に行ったアンケートで、多くの組織がリーダーの育成が進まない、参加者が少ない、活動費や資機材が足りないことを課題に挙げたと伝えています。そして、町内会単位でつくられて比較的小さいことも、その原因の一つだとしています。 役員の様子は、静岡県が県内の自主防災組織に毎年行っている調査に出ています。2022年度の調査(1,840組織が回答)では、自主防災組織の会長は63.2%が町内会長の兼務でした。別の人が務める組織は36.8%で、2009年度の25.6%からは増えています。会長の任期は1〜2年が約86%、60歳以上が約84%を占め、県は、仕事を退いた世代が持ち回りで運営しているのが実態だとまとめています。 任期が1〜2年で交代すると、訓練の段取りや資機材の使い方を覚えたころに次の人へ代わります。同じ調査では、避難所を運営できると答えた組織が36.2%にとどまり、災害時に役立つ資格を持つ人の一覧(人材台帳)をつくっている組織は17.5%でした。静岡県のカバー率は92.7%で、全国平均より高い県です。その県でもこの数字だという点は、ほかの地域を考えるうえでの目安になります。

名簿と地区防災計画が求めるもの

2013年の災害対策基本法の改正は、自主防災組織にもっと具体的な仕事を求めるようになりました。一つは避難行動要支援者名簿です。自分で避難するのが難しく、特に支援が要る人の名簿を、市町村がつくることが義務になりました(第49条の10)。本人が同意すれば、ふだんから自主防災組織などに名簿を渡せます(第49条の11第2項)。名簿を受け取った組織は、誰が誰の家を回るかを決めておかなければ、名簿を生かせません。 もう一つは地区防災計画です。地区の住民や事業者が、一緒に行う訓練、物資の備え、災害時の助け合いを自分たちで計画にまとめ、市町村の防災会議に提案できる仕組みです(第42条第3項、第42条の2)。令和7年版防災白書によると、2024年4月1日時点で2,727地区の計画が市町村の地域防災計画に定められ、7,701地区が作成に向けて動いています。2023年度中に定められた298地区では、作成の中心は自主防災組織が69.1%、自治会や町内会が16.4%でした。

平時の積み重ねが生きた例

手引には、こうした備えが実際に役立った例が載っています。仙台市の福住町町内会は、2003年に住民全員の名簿と、災害時にかならず守る高齢者や障害のある人の名簿をつくりました。後者は子どもが見ても家がわかるように地図入りにし、毎年9月に更新して、民生委員と照らし合わせています。東日本大震災の日、名簿は家の中が散らかって取り出せませんでした。それでも役員が中身を覚えていたので、集会所へ向かう途中で該当の家を回り、30分で安否を確かめました。対象の57世帯73人は全員無事でした。 この町内会は、三役が24年目に入るほど同じ人が長く続けている例でもあります。経験が積み上がる強みがある一方、特定の人に頼る形は、ほかの町内会がそのまま真似できるものではありません。 別のやり方もあります。静岡県袋井市の上山梨連合自主防災隊は、2006年4月から毎月防災会議を開き、2022年12月までに189回を重ねました。地域の人口約3,800人に対し、防災訓練には約1,900人が参加しています。中学校や地元企業、消防団と組んで訓練をし、同じ小学校区の地区とまちづくり協議会もつくっています。手引も、小さな町内会単位の組織どうしが連絡を密にし、小学校区ほどの範囲で連合することを勧めています。

考えるための問い

  • 自分の町では、自主防災組織の会長を町内会長が兼ねていますか。1〜2年で交代するなら、訓練の段取りや資機材の扱い方は、どうやって次の人に渡っていますか。
  • 災害が起きたとき、支援が要る人の家を誰が回るのか、決まっていますか。名簿があるなら、それを使った訓練をしたことはありますか。
  • となりの町内会と合同で訓練をしたり、地区防災計画をつくったりする話は出ていますか。浜区の場合はどうか、考えてみてください。

出典

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