成り立ち町内会の規約(会則)には何を書いておくべきか 10月23日 14:25 登録
役員の任期が切れたのに次の人が決まらない。年度の途中で引っ越す人から「残りの会費は返してもらえるのか」と聞かれる。こうした場面で町内会が拠り所にできるのは、会の決まりを文章にした規約(会則)です。規約は会のいわば憲法で、書いてあることを変えるには、規約そのものに定めた手続きが要ります。神戸市、多摩市、八千代市が公開している規約のひな形と地方自治法の条文を見比べると、どの会でも書いている項目、会ごとに決め方が分かれる項目、ひな形にも書かれていない項目に分かれます。自分の町内会の規約を読み直すときの手がかりにしてください。
ひな形に共通する項目
多摩市の「自治会の手引き」は、規約を、活動の目的や内容、役員の選出方法、会費の扱い、意思決定の方法など、運営の基本的なルールを定めたものと説明しています。実際に三つの市のひな形を並べると、どれにも名称、目的と事業、会員、役員の種類と任期、総会と役員会、会計年度、規約の変更の定めがあります。会計年度はどれも4月1日に始まり翌年3月31日に終わる形です。 細かいことをすべて規約に書くわけではありません。三つのひな形はいずれも、規約を実施するのに必要なことは細則などで別に定めるという条文を置いています。規約は総会で改めるものなので、金額や手続きの細部まで書き込むと、そのたびに総会が要ります。根幹は規約に、細部は細則にという分け方が、ひな形の共通の作りです。 一方で、解散したときの定めは三つのうち八千代市のひな形にしかありませんでした。多摩市の例には解散の定めがなく、神戸市の例は規約の廃止に必要な賛成の数を書いているものの、残ったお金の行き先には触れていません。法人になる町内会に法律が求める項目
八千代市のひな形が解散まで書いているのは、市長の認可を受けて法人になる町内会(認可地縁団体)を前提にした案だからです。地方自治法第260条の2第3項は、認可を受ける団体の規約に、目的、名称、区域、主たる事務所の所在地、構成員の資格、代表者、会議、資産の八つの事項を定めるよう求めています。 この違いは会員の書き方にも出ます。同じ条の第2項第3号は、区域に住所のある個人はだれでも構成員になれることを認可の要件にしています。そのため八千代市の案は会員を「区域に住所を有する個人」とし、法人化を前提にしない多摩市の例は「区域内に居住する世帯」を会員としています。家ごとに入るのか、一人ひとりが入るのかは、法人になるかどうかで変わる点です。 規約の変更の重さも違います。地方自治法第260条の3は、認可地縁団体の規約の変更には、規約に別の定めがない限り総構成員の4分の3以上の同意が要り、市町村長の認可を受けなければ効力が生じないとしています。八千代市の案もこれにそって、4分の3以上の議決と市長の認可を条件にしています。会ごとに決め方が分かれる項目
任期は、八千代市の案が1年、神戸市の例が2年、多摩市の例は「○年」と空欄で、会が自分で決める形です。神戸市の例には、再選の回数に上限を設ける書き方も括弧書きで添えてあります。同じ人が長く続けることを防ぐ条文ですが、なり手が少ない会では入れにくいかもしれません。八千代市の案には、任期が終わっても後任が就くまでは職務を続けるという一文があり、役員が空白になるのを防いでいます。 選び方も一つではありません。八千代市と多摩市の例は、総会で会員の中から選ぶとしています。神戸市の二つ目の例は、地区をブロックに分けて世話役を互選し、その世話役の中から役員を互選して総会の承認を得るという段階を踏む方式です。 規約を変えるのに必要な賛成の数も、多摩市の例は総会の議決(出席者の過半数)、神戸市の二つの例は会員総数の3分の2以上、八千代市の案は先に見た4分の3以上と、大きく開いています。変えやすい規約は時代に合わせやすい反面、少ない人数で大事な決まりが動くことにもなります。 会費は、多摩市の例が世帯ごとの月額、神戸市の一つ目の例が2か月分ずつ年6回の集金で、途中で入った人からは2か月分を入会金として集めるとしています。ひな形にも書かれていない項目
冒頭の、途中で退会した人の会費を返すかどうかについては、今回見た三つの市のひな形のどれにも定めがありませんでした。会費の免除(たとえば高齢の一人暮らしの世帯を減額するなど)の定めも見当たりません。ひな形にない以上、こうした扱いは会が自分で決めて書いておかなければ、その年の役員の判断に任されることになります。 解散したときに残ったお金の行き先も、認可地縁団体なら法律に順番があります。地方自治法第260条の31によると、残った財産はまず規約で指定した者に帰属します。規約に定めがなければ、総会の決議と市町村長の認可を経て、会の目的に似た目的のために処分でき、それでも処分されなかった財産は市町村のものになります。八千代市の案は、残余財産を4分の3以上の議決を経て目的の似た団体に寄付すると書いて、この順番の最初の段階を自分で決めています。 規約に書いていないことが起きたときの扱いを、あらかじめ書いておく例もあります。神戸市の一つ目の例は、規約や予算に明文がなくても必要なら役員会の決議で実行し、直近の総会で報告するとしています。二つ目の例は、急ぐときは会長が判断し、あとで役員会の承認を得るとしています。動きやすくなる一方、総会を通さずに決まることが増えるので、どこまで認めるかは会員の考えが分かれるところです。同じ例には、会員が求めれば会計帳簿を見せるという条文もあり、こうした公開の定めと組み合わせて考えることができます。時代に合わせた見直しの例
多摩市の手引きは、規約を現状に合わせて見直すことを勧め、書面での表決に「電磁的方法」(電子メールやウェブサイトなどを使う方法)を加える改正の例を載せています。条文の「書面」を「書面若しくは電磁的方法」に直すだけの、短い改正です。ただし、オンライン会議そのものを規約にどう書くかの条文例は、今回見た資料の中には見つけられませんでした。 個人情報の扱いは、規約の本体ではなく別のルールにする方法があります。宇都宮市のサイトに載っている自治会向けの参考例は、個人情報の管理者を会長とし、ルールを少なくとも年1回会員に知らせ、不要になった情報は元に戻せない形で捨てることなどを定めています。規約には、別にルールを置くことだけを書いておく形も考えられます。考えるための問い
- 自分の町内会の規約には、任期、役員の選び方、規約を変えるのに必要な賛成の数がそれぞれ書いてありますか。書いてあるなら、今の運営と合っていますか。
- 途中で退会した人の会費や、会費の免除を、規約か細則に書いておくべきだと思いますか。書くなら、だれがどう判断する形にしますか。
- 会が解散したら、集会所の積立金などの残ったお金はどこへ行くのが望ましいと思いますか。そのことは規約に書いてありますか。浜区の場合はどうか、考えてみてください。