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町内会について歴史・成り立ち・取り組み方・現状・将来を考える材料

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取り組み方災害時の要支援者名簿を町内会はどう預かるか 同意と守秘と安全 10月26日 14:21 登録

大雨や地震のとき、自力ではすぐ逃げられない人がいます。市町村はそうした人の名簿をつくっており、その名簿が町内会や自主防災組織に渡ることがあります。名簿を受け取ると、町内会は何ができるのか。何を守らなければならないのか。逃げるのを手伝えなかったとき、責任は問われるのか。災害対策基本法の条文と、内閣府の取組指針で確かめられる範囲をたどります。

名簿をつくるのは市町村、町内会ではない

災害対策基本法の第49条の10は、市町村長に「避難行動要支援者名簿」の作成を義務づけています。対象は、災害のときに自ら避難することが難しく、避難に特別な支援が要る人です。名簿には氏名、生年月日、性別、住所、電話番号などの連絡先、支援が必要な事由を載せます。 令和7年版の消防白書によると、この名簿はすべての市町村で作成済みです。名簿をつくり、更新するのは市町村の仕事で、町内会が自分で調べて作るものではありません。 名簿の次の段階が「個別避難計画」です。要支援者一人ひとりについて、誰が支援するか、どこへどの道で逃げるかを決めておく計画で、第49条の14に定めがあります。令和3年5月の法改正(5月10日公布、5月20日施行)で、市町村が作成に努める義務(努力義務)になりました。本人が同意しないときは作成しません。 消防白書には、令和7年4月1日時点で、1,741市町村のうち1,691市町村(97.1%)が1件以上作成したとあります。数字は「1件以上」の市町村の割合で、対象者全員の計画ができた割合ではありません。

町内会に名簿が渡る条件

第49条の11第2項は、市町村長が平常時から、消防機関、警察、民生委員、市町村社会福祉協議会、自主防災組織などの「避難支援等関係者」に名簿情報を提供するものとしています。ただし、市町村の条例に特別の定めがある場合を除き、本人の同意が得られない人の情報は提供しません。条文に「町内会」「自治会」の語は出てきません。指針は提供先の例として、自主防災組織や自治会などを挙げています。 つまり平常時の提供には、本人の同意を取るか、同意がなくても提供できると条例で定めるか、二つの道があります。消防庁は令和7年6月20日付けの通知で、同意を得る手続と、条例に特別の定めを置くことの両方を市町村に検討するよう求めました。 災害が起きたとき、または起きるおそれがあるときは、扱いが変わります。同条第3項により、市町村長が生命や身体を守るために特に必要と認めれば、本人の同意なしに名簿情報を提供できます。

受け取った側が守ること

名簿には病気や障害、介護の状態といった、他人に知られたくない事情が含まれます。第49条の12は、市町村長が提供先に漏えい防止の措置を求めるよう努めると定めています。第49条の13は、提供を受けた人に、正当な理由なく秘密を漏らさない義務を課します。役員や担当を退いた後も同じです。 指針は、市町村が提供先に説明する措置の例を挙げています。
  • 担当する地域の分に限って渡し、市内全体の名簿は渡さない
  • 団体の中で取り扱う人を限る
  • 鍵のかかる場所に保管し、必要以上に複製しない
  • 取り扱いの状況を報告させる
  • 平常時に持たない団体へ災害時に渡したときは、使い終わったら廃棄か返却を求める
「正当な理由」の線引きについて、指針は次のように説明しています。災害時に応援を得るため、緊急に近隣の住民へ名簿情報を知らせるのは、守秘義務違反に当たらないと考えられます。一方、災害が起きていない平常時に、応援を得る目的であっても他の人へ渡すことは、正当な理由にならないとしています。 違反したときの重さも示されています。指針の個別避難計画情報についての解説(第49条の17)によると、自主防災組織の構成員のように善意で無償で関わる民間人には、罰則を設けていません。過度な心理的負担を避け、共助の裾野を狭めないためです。ただし、情報が漏れて民事の損害賠償訴訟になれば、義務違反が不法行為責任の根拠になりうる、と注意しています。

助けに行く人の安全と責任

指針は、避難を支援する人とその家族の生命と身体を守ることが大前提だとしています。支援は可能な範囲で行うものとされ、地域で安全確保のルールをあらかじめ話し合って決めるよう求めています。津波の例では、到達時間に応じて活動をやめる退避のルールを定めた消防団の例を挙げています。 個別避難計画の同意書の様式例には、同意しても支援が必ず行われる保証はなく、支援者は法的な責任や義務を負わない旨が書かれています。指針は、支援者が全力で助けようとしても、助けられない可能性があることを、本人に理解してもらうよう求めています。 万一の補償にも触れています。名簿情報の提供を受けた避難支援等関係者が、緊急の必要があると認められる状況で避難支援に従事し、死傷した場合は、災害対策基本法の第65条第1項、第84条第1項に基づく損害補償の対象になります(公務災害補償などの対象者を除く)。

同意の壁と共有の効用

指針は共有のよい面を挙げています。名簿が平常時から支援する側に渡っていれば、災害時の避難支援が円滑で迅速になる、という考えです。令和元年台風第19号などを踏まえた検討では、名簿に載るべき人が載っていないこと、名簿が災害時に十分活用されていないこと、平常時の提供が進んでいないことが課題として示されました。指針は、表に出にくく孤立した人を見つけるために、町内会などの地縁組織との連携が必要だとも述べています。 別の側から見ると、事情は異なります。個別避難計画の情報には、心身の障害、持ち出す品、移動に必要な配慮が含まれます。指針は、これを他人に知られると、本人や家族が社会生活で不利益を受けるおそれがあるとして、平常時の提供に同意を求める理由を説明しています。さらに、秘密が守られるという信用が得られなければ、同意をためらう人が出て、制度の実効性が損なわれるおそれがあるとも書いています。 条例で同意を不要にすれば共有は進みますが、本人の意思を確かめる手順は省かれます。同意を取る方式では、本人の意思は尊重されますが、断った人や返事のない人の分は支援する側に届きません。どちらが妥当かは、地域の実情で変わる問題です。

考えるための問い

  • 自分の町内会が名簿を受け取るとしたら、保管する人、見られる人、使い終えたときの処分を、誰がどう決めるでしょうか。
  • 支援に行く人が危険な状況になったとき、「ここまでで引き返す」という線を、町内会として事前に決めておけるでしょうか。
  • 同意しなかった人、同意を確かめられていない人の安全を、名簿に頼らずにどう考えますか。浜区の場合はどうか、考えてみてください。

出典

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