現状町内会の税金、法人格のない場合と認可地縁団体の違い 10月29日 14:23 登録
町内会にも税金の決まりがあります。会長などの代表者を決めただけの町内会と、市長の認可を受けて法人になった認可地縁団体とでは、同じ活動をしても、税務署に届け出るかどうか、市町村にどんな申告をするかが変わります。国税庁、総務省、いくつかの市の公式資料で確かめられた範囲で、法人税、収益事業、消費税、地方税の扱いを並べます。個別の判断は、所在地の税務署、市区町村の税務担当課、税理士に相談してください。
法人格のない町内会は「人格のない社団等」にあたる
国税庁の「法人税のあらましと申告の手引」(令和6年10月)は、人格のない社団等を「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの」と説明しています。例には、PTA、同窓会、同業者団体が挙がっています。町内会は名指しされていませんが、会長などの代表者を決めている町内会は、この定義の文言に当てはまりやすいと読めます。 人格のない社団等は法人とみなされ、法人税法が適用されます。ただし課税される範囲は広くありません。手引の表では、人格のない社団等は公益法人等と同じく、収益事業から生じた所得にだけ課税されます。株式会社のような普通法人は、全ての所得が課税の対象です。認可地縁団体は公益法人等とみなされる
同じ手引は、認可地縁団体が地方自治法第260条の2第16項の規定で公益法人等とみなされると書いています。公益法人等も、課税されるのは収益事業から生じた所得です。法人税だけを見れば、法人格を取っても課税の範囲は変わりません。 この揃い方には経緯があります。総務省の令和3年度の税制要望には、平成3年に地縁による団体が権利能力を持つようになったとき、課税の扱いを権利能力の取得の前後で同一にする措置が必要とされたと書かれています。例として挙がっているのが「収益事業のみ課税」です。同じ資料によると、平成20年度には、税制上公益性を持つ法人として扱う改正がありました。収益事業とは何か
収益事業は、法人税法施行令第5条第1項に挙がる34の事業で、継続して事業場を設けて行われるものです(法人税法第2条第13号)。物品販売業、不動産貸付業、席貸業、技芸教授業、駐車場業などが入っています。 通達(法人税基本通達15-1-1)は、その事業が団体の本来の目的であっても課税されると定めています。反対に、34の事業に入っていない活動からの収入は、収益事業の所得になりません。町内会費を集めること自体は、34の事業のどれにも挙がっていません。バザーや駐車場貸しは収益事業になるのか
「事業場を設けて」という条件について、通達15-1-4は、常設の店舗がなくても、必要に応じて随時場所を設けたり、既存の施設を使ったりして行うものを含むとしています。町内会の集会所や公園で開く催しも、場所がないから対象外とは言えません。 「継続して」という条件について、通達15-1-5は、縁日の物品販売のように、相当の期間続くものや、定期的または不定期に繰り返されるものを含むと説明しています。年に1回のバザーがこれに当たるかどうかを、町内会に当てはめて答えた国税庁の資料は、確認できませんでした。 神戸市の資料は、収益事業の例として、有料の駐車場がある、賃料を取っているといった場合を挙げています。ただし、これは市の案内であり、最終の判定は税務署が行います。 駐車場については、国税庁の質疑応答に参考になる事例があります。団地管理組合(人格のない社団等)が、区分所有者だけを対象に行う駐車場について、国税庁は、示された事実関係を前提にすれば収益事業に当たらないと答えています。理由は、構成員を対象とした共済的な事業であること、料金が管理費の割増金と考えられること、収入が分配されずに運営費や修繕積立金に回っていることの3点です。事例の前提には、敷地を区分所有者が所有していること、料金が付近より安いことも含まれています。国税庁自身が、事実関係が違えば異なる課税関係になりうると注記しており、町内会の駐車場にそのまま当てはまるとは言えません。通達15-1-3も、共済事業は内容に応じて全部または一部が収益事業になるかを判定するとしています。届出と申告
収益事業を新たに始めた人格のない社団等は、始めた日から2か月以内に、収益事業開始届出書を納税地の税務署に出します。添付するのは、収益事業の開始時点の残高対照表と、規約などの写しです。 認可地縁団体について、神戸市の資料は、市役所、県税事務所、税務署にそれぞれ法人設立の届出や申告が必要としたうえで、税務署へは収益事業を行わない場合は不要と書いています。消費税
国税庁のタックスアンサー(No.6121)によると、人格のない社団等も法人とみなされ、課税資産の譲渡等を行えば消費税の納税義務者になります。基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として納税義務は免除されます。 会費の扱いについては、消費税法基本通達5-5-3があります。同業者団体や組合などが、団体の通常の業務運営に経常的に必要な費用を構成員に分担させる通常会費は、資産の譲渡等の対価に当たらないものとして扱って差し支えないとしています。一方、名目が会費でも、実質が施設の利用料などと認められれば対価になります。この通達は同業者団体や組合を想定した書き方で、町内会費に同じ扱いが当てはまると国税庁が示した資料は、確認できませんでした。地方税は市町村によって案内が違う
地方税の扱いには、法人格の有無がはっきり出ます。神戸市の資料では、認可地縁団体の法人市民税は、収益事業を行わなければ均等割だけで、減免の措置があります。固定資産税は課税で、集会所のように公共のために使う場合は減免の措置があります。不動産取得税も課税で、集会所などは減免、登録免許税は課税です。法人事業税は、収益事業を行わなければ非課税です。減免は、それぞれ申請が必要とされています。 千曲市の手引では、収益事業を行わない場合、法人市民税、固定資産税、不動産取得税が減免、登録免許税は課税と整理されています。減免の手続きにも期間があり、認可を受けた日から1か月以内に法人設立(設置)異動申告書を出す税目もあります。同じ認可地縁団体でも、案内の書き方は市ごとに違います。 人格のない社団等の法人市民税は、仙台市の案内によると、収益事業を行うものが法人とみなされて課税の対象になり、その均等割は年額5万円です。この金額は仙台市の例であり、市町村ごとに確認が必要です。確かめられなかったこと
法人格のない町内会が持つ集会所や土地の固定資産税、不動産取得税の扱いは、確認できる資料が見つかりませんでした。総務省の資料によると、認可地縁団体の制度は、自治会などが持つ不動産をめぐるトラブルを防ぐために平成3年に作られました。法人格のない町内会の不動産の税については、これ以上のことは書けません。 寄附の受け取りの扱い、バザーの個別の判定、認可地縁団体の消費税の細かい扱いも、公式の資料では確かめられませんでした。考えるための問い
- 自分の町内会は、会費のほかに、物品の販売や場所や駐車場の貸し出しなどで、お金を繰り返し受け取っていないか。それが34の事業のどれかに当たるかを、税務署に聞いたことがあるか。
- 集会所や土地の名義は誰になっているか。名義人が代わるときの手続きと費用を、役員は知っているか。
- 税務署や市町村への届出と申告の担当は誰か。担当が替わっても分かる記録が残っているか。