将来小さくなった町内会は合併できるのか 出雲市の手引きと法改正 10月30日 17:05 登録
世帯数が減った町内会は、隣の町内会と一つになる道を選ぶことがあります。班や組の区切りを組み替えて、役員の回り方を変える町内会もあります。この記事では、出雲市の手引きと十和田市の意見交換会の記録、前橋市の認可地縁団体の手引き、総務省の資料をもとに、合併と再編で何が決まり、どこで意見が分かれるのかを整理します。結論は出しません。
小さな町内会はどれくらいあるのか
出雲市の手引きによると、同市には令和6年4月1日現在で2,308の自治会があり、1自治会あたりの平均は16世帯です。10世帯に満たない自治会が全体の4分の1以上を占めます。高齢化が進むと、役員の順番がすぐに回ってきたり、共同作業ができなくなったりする自治会が出ていると書かれています。 十和田市の例もあります。令和7年6月26日の市議会と町内会連合会の意見交換会の報告書では、連合会の説明として、市内の291町内会のうち204町内会(70%)が50世帯以下、51世帯から100世帯が48町内会(17%)、100世帯を超えるのが39町内会(13%)とされています。同じ報告書には、規模ごとに悩みが違うという説明も載っています。小規模では「存続」、中規模では「担い手不足」、大規模では「若い人をどう取り込むか」です。 どちらも市や連合会が示した数字で、全国の傾向を表すものではありません。小さな町内会が多い地域がある、という確認にとどめます。合併のメリットとデメリット
出雲市の手引きは、隣り合う自治会が合併することを、自治会の規模を大きくする有効な手段の一つとしています。ただし、すべての地域でできるかどうかは分からないとも断っています。挙げているメリットは四つです。- 役員や活動の担い手を確保できる
- 会費収入が増えて財源が安定する
- 活動の幅が広がり、参加者が増える
- 地域のつながりが広がり、災害時に助け合いやすくなる
合併の前に話し合っておくこと
手引きは、合併の前に整理して確認しておく事項を並べています。合併の方式と日、名称と区域、役員体制、班や子ども会・老人会の編成、会費の額と集め方、行事や慣習(神社や伝統行事を含む)、会計、財産(積立金、集会所、備品、ごみ集積場)の管理、規約です。 財産と行事は、住民が自分のものと感じやすい部分です。手引きの付録にある合意書の例では、合併される側の自治会が、その年度の事業を終えたあとに権利、義務、財産をすべて存続側へ引き継ぐ形になっています。これは例文であり、どの町内会でもこうなるという意味ではありません。 班や組の組み替えも、合併の協議事項に入っています。協議資料の例には、合併される側の3班を2班に整理してから、存続側の6班から7班に組み込む、という書き方があります。班の数と境界を変えると、回覧板や班長の順番、ごみ集積所の管理の範囲が変わるので、会費や役員と同じくらい生活に響きます。合併の進め方
出雲市の手引きは、合併を二つの型に分けています。新しい自治会をつくる新設合併と、一方が他方を受け入れる吸収合併です。吸収合併では、受け入れられる側の自治会は解散し、受け入れる側は組織変更となります。 手続きは、隣の自治会への打診、協議、総会での決議、新しい自治会の発足の順です。協議では、調整した内容を合意書の案にまとめ、それぞれの会員に条件を確認してもらいます。総会では、新設合併なら両方の自治会が合意書案の承認と合併の決議を行います。吸収合併なら、受け入れられる側が承認と解散の決議、受け入れる側が承認と合併の決議を行います。そのうえで合意書を結びます。 手引きは、運営の慣行やルールがすべて一致することはきわめて少ないので、話し合いに時間をかけるよう勧めています。全員の賛成を得るのは難しくても、経過をそのつど説明し、意見を言う機会を設けることも勧めています。発足後も、少なくとも最初の1年は運営の状況を点検するよう求めています。認可地縁団体が合併するとき
認可地縁団体は、町内会などが市町村長の認可を受けて法人になったものです。総務省の資料によると、令和4年の地方自治法の改正(令和4年8月20日公布、令和5年4月1日施行)で、認可地縁団体どうしの合併の規定ができました。 改正の前は合併の規定がなく、合併するには解散して清算の手続きを経て、団体を新しくつくる必要がありました。決議のために総会を開く手間も省けませんでした。総務省の資料は、改正後は権利義務のすべてを引き継げるので、解散に伴う清算の事務の負担が軽くなると説明しています。 前橋市の手引き(令和6年度)は、認可地縁団体どうし(前橋市内に限る)が地方自治法第260条の38により合併でき、そのためには総会の決議が必要だと書いています。なお、この手引きは、総会の決議で解散する場合の賛成の数を、総構成員の4分の3以上、または規約に定める議決定数としています。 総務省が示した省令案の概要では、合併の認可は代表者の申請にもとづいて行われます。債権者を保護する手続きが終わったときは、合併する団体が共同で、遅れずに市町村長へ届け出ます。届出があると、市町村長は合併を認可したことを告示します。告示される事項には、合併後の団体の名称、規約に定める目的、区域などが挙げられています。これは案の段階の資料なので、実際の様式や手順は、市町村の手引きや窓口で確かめてください。 出雲市の手引きは、合併する自治会の中に認可地縁団体がある場合は、市へ事前に相談するよう求めています。認可を受けていない団体と認可地縁団体の合併について、今回確認した資料にそれ以上の記述はありませんでした。合併以外の選び方
合併に進まない選択もあります。十和田市の意見交換会では、ある議員が、町内会はあっても活動していない例があるので、区割りを変えて見直し、小さくても活動している町内会を支えてはどうか、と述べています。別の議員は、小さな町内会どうしが協力して行事や問題の解決に取り組む必要があると述べています。15軒しかない町内会が数年ぶりに総会を開き、防災の研修を行って喜ばれた、という発言も記録されています。 これらは意見交換会での発言であり、市の施策や実績ではありません。ただ、一つにまとまる以外にも、区割りの見直しや町内会どうしの協力という選択肢が、現場で語られていることが分かります。考えるための問い
- 自分の町内会の世帯数は、10年前と比べてどう変わったでしょうか。役員の順番は何年に一度回ってくるでしょうか。
- 合併すると集会所や積立金、神社の行事、ごみ集積所はどうなるでしょうか。「顔が見えにくくなる」という心配に、班の組み替えなどでどう応えられるでしょうか。
- 合併、区割りの見直し、他の町内会との協力のうち、いまの浜区の事情に近いのはどれでしょうか。